9.16 ガイド付イルカウォッチングの体験会を開催

9.16 ガイド付イルカウォッチングの体験会を開催

天草のイルカウォッチングでは、いわゆる「ガイド」さんがいません。乗船前~イルカを見るとき~終わって帰港するまで~の間で、詳しい解説に触れる機会がないことはとっても残念です。また、自然体験が”人が楽しむだけのレジャー”でよかった時代は過ぎ、地域や環境に敬意を払い自然に配慮したスタイルに進化していくことが求められています。

というわけで、天草ではまだまだ浸透していない「ガイド付」ってどんな感じだろう!ということを知ってもらうために体験会を企画しました。

8/1に募集開始し、2週間で30組の応募がありました。無料招待でしたが、参加者の方々には事後アンケートのご協力を条件とさせていただきました。

企画では、乗船前の解説は任意参加でしたが

午前も午後も、ほぼ全員の方が乗船前ミニレクチャーに参加

乗船前の解説内容としては
①イルカセンター案内
実はイルカセンターには2階に「ドルフィンスクエア」というエリアがあり、タッチパネルでイルカを学べるスポットがあります。他にも、漁業者のサスティナビリティに寄与する取り組みの解説ボードがあったり、イルカプログラムのときに使う階段の壁画もなかなか見どころです。そのような「イルカセンター」ならではの展示はあまり知られていないのが実情です。
②イルカウォッチングの歴史
1950年代にアメリカで初めて「観光事業」としてスタート、日本では1989年に小笠原がクジラウォッチングをはじめました。イルカと泳ぐ「ドルフィンスイム」で有名な御蔵島は1990年代初頭からはじまりました。ここ天草では、1992年に開始され30年以上が経過
③五和エリアと対岸をつなぐ、早崎瀬戸海峡とイルカの生息エリアについて
④イルカは観光商品というだけではなく、世界的な規模で調査や研究が進んでいる
⑤教育的な価値としての存在意義もある

イルカとの出会いは楽しい部分だけではなく、海の危機についてもいろいろな事実を目の当たりにする機会

⑥自主ルールについて
かつて存在した看板もなくなりルールがあることさえ知らない人たちがほとんどです

2018年当時の写真 私はたまに利用していました

(以前も誰かこの看板の前で解説する人がいたわけではないですが)
観光客が必ず通るところに設置してあった意味は大きいでしょう。 

こちらの背景にあるイルカ観光船の浮桟橋が台風被害で使えなくなってしまい、、、その後しばらくして

2020年8月25日 看板撤去 😢となりました。

それ以来、訪問客の誰一人としてこの地域の自主ルールを現場で目にする機会はなくなりました。また、スタッフが解説することもありません。


天草のイルカウォッチング業者の皆さんは、基本的にはこちらのルールに基づいて運航することになっています。今回は、自主ルールの存在と、とくに3つの項目について解説もしました。

さて、個人的な主観になりますが、私は2015年に初めて天草を訪れて、2017年に東京から移住したわけですが。。。コロナ禍になる前くらいまで、人によってはかなりひどいといわざるをえない状況であったと記憶しています。そして2~30年前を知っている識者の方々からは、もっともっとひどかったということも聞いたこともあります。

日本国内にとどまらず、海外においても、観光船とイルカやクジラ(他の海棲ほ乳類も同じ)の距離やアプローチについての見識は時代とともにかわっています。なので、いちがいに天草が特別ひどいということをことさらに言いたいわけではないことを、ぜひご理解いただきたいと思います。せっかくここまで来たお客さんに、一番早く、一番近くで、一番長く見せてあげたいという提供側の意識も、一般的な観光客の自然体験についてのモラル感も、近年、だいぶ変化しつつあります。

そしてルールの存在が観光客に公開されていなくとも、ここ数年の天草エリアの操船はかなり改善されたと思います。(主観)日本のなかでも、このような意識が育ってきつつあるのかもしれません。(水上バイクは別問題)

皆さんに伝えたいことは、すべての項目を「覚える」ことよりも、ルールの目的や、とくに重要なポイントについての解説、掲示、周知が大切なのではということです。


乗船前の解説で、見る側の心に準備をしてもらうことが大切

ミニレクチャーは20分ほどで、いよいよ海へ出発です。船内に入って着席してもらったあとまずは乗船客の安全に関するご案内そして
(私が仕事で乗船するときには必ず以下のアナウンスをします)
①帽子・サングラス・タオル・マスク・スマホなど風に飛ばされたり、海に落とすと二度と手元には戻ってこないことの注意喚起
これにくわえ、同時にすべて海のゴミになってしまうので環境保全のためにも気を付けてほしいということ。
②これから見に行くイルカは野生イルカで餌付けはいっさいNG
③自由に泳いでいるイルカたちに、私たちが付いていくスタイル(待ちぶせや誘導のような行為はしない)

さらにイルカスポットに向かう途中で、周辺の案内をします(場所によりますが、通詞島や様々なランドマーク、対岸の長崎県や、本日のイルカの動きなど)

そうこうしているうちに、イルカのところに到着!

午前も午後も本当に暑い日でした
そのとき、そのときで、イルカが何をしているのかの解説

イルカが潜水中のときには、天草のイルカの特徴や、見分け方など説明やクイズを出したり。

暑かったのでかなりばててしまった人たちもいました
(;´∀`) 冷え冷えグッズを配りました。
でも、たくさんのいイルカに会う事ができて良かったです☆
そして帰港のときには

生息環境の現状について解説や、背びれの傷の意味

下船後はそのまま自由解散、という体験会となりました。

参加者は幼児から80代の方まで年齢層幅広く、事後アンケートは23名の方からの回答をいただきました。


アンケート結果

回答者は、40代が一番多く、次いで50代、60代となっています。

自由記載 (一部抜粋・割愛)

乗船前のレクチャーで、事前に知識を入れてるので普通にウォッチングするよりも興味関心が広がり楽しかった。貴重な体験をありがとうございました。

今日のようなミニレクチャーでも室内か椅子などがあった方が良かったです。もう少しイルカのところにいたかったです。

末永くイルカとの共存を果たすためにも、今回のようなレクチャーを通じて環境問題への啓発も引き続き行って頂きたいです。同行した家族もとてもためになったと言っていました。

これから天草のイルカを守るためにも、しっかりとレクチャーがあるツアーがいいと感じました。

いつもイルカウォッチングをするたびにイルカのことを知りたいなぁと思っていたので、きょうの高崎さんのガイドはとってもよかったです。クイズ形式を盛り込むなど、色々と工夫して下さっていて、すばらしかったです。知らないことがたくさんありました。ありがとうございました。イルカミニレクチャーは外で立ってお話を伺う形式でしたが、折角ですので、短い時間であっても、2階のイルカの資料室でレクチャーしていただけたらいいのではないかと思いました。資料室の紹介にもなりますし‥。(イルカセンターは何度も訪れていますが、きょう教えていただくまで資料センターのこと、知りませんでした💦)。

小さい子供も一緒に参加させて頂きました。ミニレクチャーではクイズ形式だったので楽しみながら学べたようです。個人的にはもう少し環境問題との関連を深掘りした話を聞きたかったです。

特に改善する点はない。満足できた。ありがとうございました。

楽しい時間を、ありがとうございました。暑さと、子供が小さすぎたことにより、最初のレクチャーは、不参加となりましたが💦船内のガイドは、子供たちも自然と耳に入っており、夜書いていた日記に、しっかり書き出していました!!少しの声かけに寄り子供たちは、すぐに集中し、イルカに真剣に目を向ける姿には感動しました。環境の話もしっかり覚えていました。環境問題へもとても興味をもつきっかけになったことと思います。ありがとうございました!!

イルカウォッチングは何度か参加したことはありましたが、ガイド付きは初めてでした。地元なので小さいころからイルカは身近にいましたが、イルカを見分けようと思った事もないし、どうゆう行動をとっているとか考えた事もなかったです。見せる船の決まりなども初めて知りました。当たり前ではないこの環境を大切にしたいと思いました。暑い中ありがとうございました。

初めてのイルカウォッチングとても楽しかったです!!ガイドさんの説明もとても分かりやすくて、より一層楽しむ事が出来ました。また、イルカについて知らない事だらけでしたが、今回ガイドさんの説明で赤ちゃんイルカの縦線の事や1日の食事量、天草のイルカの特性等など沢山の事を学ぶ事が出来て良かったです!ガイドさんのイルカ愛がとても伝わってきてイルカが大好きなんだなと思いました。また色んな企画があったら是非参加したいと思いました。

野生イルカを見にいく上でルールやイルカの生態は絶対知っておくべきだと思う。レクチャーが無ければ水族館のイルカと同じで人間が見るために飼われていると感じる方がいると思う。外国の方にもレクチャー必要と思いますが多国籍の対応は中々難しいとも感じます。浅い認識で色々意見してすみません。これからも活動頑張ってください。

初めてのイルカウォッチングがこんなに充実して良かったと思いました。周りの船にガイドさんがいないのを見てやはり説明をして頂くのがどれだけ良いのかを感じました。


なぜガイド付イルカウォッチングの普及を願うのか

ただ見るだけでは、それを取り巻く大きなビジョン、そしてそれを支える小さな奇跡のピースに気が付くことは難しいものです。対象がイルカでなくても、様々な分野で同じことと思います。とくに自然環境や、歴史・文化、芸術などは、全く知見のない人にとっては「ふーん」で終わってしまいかねません。何が価値で、何がそれにこめられているメッセージなのかを少しでも理解できると、急に見える世界がかわります。

「いのち」を学ぶ海 それが天草のイルカウォッチングであってほしい

「気づき」や「感動」「驚き」を導くことこそが、ガイドさんの役割なんだと思います。人それぞれ感じることは様々ですが、ガイドがいることで、同じ時間がより豊かな経験となる可能性があります。

地域の皆さんの声、観光客の皆さんの声が、良い変化の流れを促すこともあります。人にもイルカにも優しい海の実現のためにもぜひ、このような声に注目が集まっていくといいなと願っています。

ご参加くださった皆様、また、アンケートのご協力を本当にありがとうございました。