10.11 河合さんをお迎えし勉強会が開催されました
- 2024.10.12
- 報告
- Light Animal, アニマルウェルフェア, アニマルライツ, イルカの聖地, イルカウォッチング, ライトアニマル, 天草, 河合晴義
9/13に開催された勉強会の第2弾を開催しました。
1回目はこちら https://dolphin-lab.com/2024/09/19/post-5359/
「イルカと人との共生」に向けた海の環境に配慮した観光事業についての勉強会
講演「変わりつつある生き物への眼差し ~イルカを中心に~」
講師 河合晴義氏 (ライトアニマル 代表 海洋生物イラストレーター)
河合さんとは数年前にお会いして、ライフワークであるライトアニマルにとても感銘を受けました。その後、2018年7月に天草で講演をして頂きました。その時のお話しがとても勉強になり、またITの技術には本当にびっくりしたことを覚えています。あれから6年がたち、河合さんのライトアニマルは(予想通り!)ますます世界で評価されはじめています。また ITテクノロジーもずいぶん発展しました。そして、何よりも河合さんが大事にしている動物保護と教育の面についても、世界的にはずいぶんと変化があるようです。
というわけで、今回は河合さんにお越しいただきました。
6年ぶりに天草に立ち、その40分後にはたくさんのイルカと対面することができました。乗船前にトイレをはさんでも40分(笑) まさかの距離に生息しているイルカたちに、改めて感激してくださいました。私自身、河合さんをこのタイミングでもう1度お招きすることができて、とっても嬉しかったです。
滞在時間が限られているので、翌日は朝から大忙し!
講演前に天草の「今」を駆け足でご案内しました。
ご案内しながら、天草のイルカや二江地区の歴史や文化、イルカと人の共生の背景、イルカ調査室の活動について紹介していきました。
イルカセンター館内のデジタル展示や、観光船船内での教育的なアプローチについては、まだまだアップデートの余地があるのではという助言を頂き、それは私も同じように考えています。
勉強会は、動物の権利、動物の福祉という聞きなれないテーマについて掘り下げる内容でした。
世界的な鯨類の保護活動について、どうやら日本では間違った認識が流布しているとのことです。
諸外国の主張について、イルカ(やクジラ)が賢いから、かわいいから守らないといけないという考えがもとになっているかのように、日本では認識されています。しかし、その認識は正しいとはいえないようです。
どういったポイントで間違いなのか、という点について歴史や事例を交えて解説をしてくださいました。日本ではまだまだ認知されているとはいいにくい、動物福祉(アニマルウェルフェア)、動物の権利(アニマルライツ)についての考え方やアクションは、歴史的・文化的な変化をしているそうです。現代は人種に加え、ジェンダー、年齢、仕事、権威など様々な領域で
「差別」について配慮が求められる
ようになってきました。動物に対する配慮に関心が高まり、実際にアクションがおきているのは、それと同じことだそうです。
よくある偏った主張で、たとえばビーガンの考え方に対して、「動物はダメで植物はいいのか、植物だって生きている」という矛盾をつくという場面があります。これについては、動物の権利(アニマルライツ)の考え方では、
生きているかどうかではなく、苦しみを感じるかどうか
が基準とのことでした。
また「動物への配慮」には、2種類のアプローチがあるとのこと。完全に接触を断つようなタイプと、現状を受容し打開案としての行動規範(せめて生きている間は、苦しみを減らそう)です。そのどちらにも「賢い」「かわいい」からという理由は含まれていません。
すべての動物での検証はまだ先になりますが、少なくとも一部の鯨類は、過去と未来を考えることができる、高度な会話能力がある、社会性でつながっているということがわかっています。そのために「多様な苦痛を感じやすい」とされています。だからこそ、特別な配慮が必要である。
鯨類保護の眼差し、具体的なアクションにはこのような背景があるとのことでした。なるほど、とても腑に落ちました。賛成反対はさておき、しっかりと明文化されることで、理解が進みました。
実際に、ある統計では、アメリカ人の32%が動物と人は同じ権利をもつ、ことを支持しているそうです。
世界的には、野生であれ、飼育であれ、鯨類との交流についての規制はどんどん強くなっています。今はまだ日本にその流れはありませんが、遅かれ早かれそのニーズや意識の高まりに日本も対応していかなくてはいけません。河合さんの講演を聞き、イルカウォッチングを「観光」事業としている天草でも無関心ではいられないテーマになっていく、正しい知識をもって、今から取り組みを進めていくことが必要なのだな、という意識をもちました。
この動く描写を実際に原寸大見ると、本当に驚きます( ゚Д゚)スゴーイ!
こちらのライトアニマルは、教育素材としてだけではなく、観光客向けの夜の屋外展示や、欠航時の特別上映など、様々な可能性があることも提案してくださいました。
今回は、これまでに考えたことのないようなテーマについての講演でした。極端な事例に少し胸がざわついたり、自分の考え方が少し変化あるいは深まったりと、それぞれの方々の感じ方が多様にあったように思います。
河合さん、ありがとうございました。
ライトアニマル https://www.lightanimal.net/jp/
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天草市トピックス https://www.city.amakusa.kumamoto.jp/kiji00312530/index.html
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