2024年 イルカへの思い

2024年 イルカへの思い

イルカの住む天草の海

有明海には、2種類の鯨類、ミナミハンドウイルカとスナメリが定住しています。そして、天草下島、主に通詞島から鬼池、南島原に囲まれたエリアは内海と外海をつなぐ水路になっていて、早崎瀬戸海峡と呼ばれています。ここは海流が速いことで知られ、まさにイルカたちが主に生息している場所です。海の食物連鎖の頂点である鯨類が内海(限られたエリア)に定住(生涯を過ごす)できるのは、それを支えるすべての階層の「いのち」に支えられているからです。

イルカがいる=豊かさの象徴 というのは、イルカが住めるほど海が豊かだ、ということです。普段は気にも留めない、「すべての要素」がそれを支えています。自然界に起こるすべては、お互いに共生共存していくための出来事です。自らの種が縮小、あるいは絶滅するような争いや奪い合いをする必要はなく、それぞれの「いのち」を全うし循環し続けます。

陸の食物連鎖の頂点と言われている私たち人間も、その循環に参加することができるはずなのです。

でもそれを「信じる」ことが難しい。私自身、抽象的なファンタジーとして「願う」ことから脱却できないのです。

美しく潔く、気高い

イルカたちと過ごしていると、私にはそんな気持ちが体中から湧いてきて、ただただ圧倒されます。彼らの世界では「疑い」が生じることはなく、お互いのいのちや眼差しを完全に明け渡し、個としても群としても同時に生きています。それを知っているのに、それをこんなに目の当たりにしているのに、それでも、自分はそうはなれない、という現実のほうを選択し続けてしまう。そしてそんな弱い自分に絶望してしまうのです。彼らは「すごい」、私はどうなんだ、と。

もちろん、シンプルに感激し、「可愛い~!」と心躍ることがほとんどですけどね。

みなさんはいかかですか?イルカが好きかどうかに関わらず、イルカたちの姿に影響を受ける人は少なくありません。元気になれるとか、癒されるとか、一緒に遊びたい、そういった感情も根源は同じで、それぞれに自分のいのちが「何か」に反応しているんだと思います。

天草のイルカたちに初めて会ったのは、2015年。今でもそのときのことを覚えています。

2024年12月、いまの思いを書き残しておきます。

イルカの海があり続けてほしい

その思いが心に灯ったときから、時間を経るほどに、ますます強くなっています。

天草は、
野生のイルカが生息する環境が現存している=奇跡

ただし辛うじて=課題
という状況です。

それをふまえて、これからも【天草に野生のイルカが住み続けてほしい】です。

多くの人が、すでに頭ではわかっていること。それは、彼らの生息環境がとても厳しいだろうということです。失ったら、取り戻すことができない宝物は、危機的状況にあり、それは手のひらから少しずつこぼれ落ちていく砂のような状態です。

そんななかで、わたしには何ができるか。正解はないけれど、問い続けています。

本来の自然の力は、人が考え付くあらゆる奇跡よりも、強大で神秘的で超越しているわけなので、それが引き出されることをせき止めてしまっている原因があります。イルカたちと交流し、彼らから学ぶことで、原因は自ずと明らかになっていきます。

私は、自然の力を回復するというよりは、ただシンプルに、人の営みのなかで“やめること”を見出すことが重要だと考えています。

そしてもう一つ、子どもたちに、自然の神秘と同じくらいに人生は壮大で、喜びやわくわくに満ちていると信じるに値する、と全力で伝えること。なのかなと思っています。

そのエネルギーが、いつか巡り巡って、イルカの住み続ける海に還ってくることを信じたい。

こんなに近くで、全身全霊でイルカと向き合う人生を送ることができるとは想像もしていませんでした。しかもそれが縁もゆかりもない天草だったなんて。
365日ほとんど、イルカのことを思っています。
日々の困難や葛藤、喜びも悲しみもいっぱいあります。
でも総じて、私は本当に幸せな人生を送っているに違いありません。

私の人生を彩るイルカたちと、関わってくださるすべての皆様に心からお礼申し上げます。
そして身近で叱咤激励してくれている、あ な た! 本当にありがとう。来年もよろしくです♪
2024年も残り数日となりました。来年はどんな年になるかな~
良いお年をおむかえください(^▽^)

2024年12月27日
高崎ひろみ