天草の野生イルカについて 陸からの目視調査 422日分の結果

天草の野生イルカについて 陸からの目視調査 422日分の結果

イルカの調査は大きく分けて3種類の方法で行っていました。

この記事では、真ん中の陸上調査についてのレポートです。

下図は天草市五和町の海岸沿い。主に濃い青い部分が、イルカを陸から目視確認することができる範囲です。通詞島(つうじしま)の資料館前から鬼池の砂場エリアの道沿い(約8km)にあるいくつかのポイントから、イルカを観察します。調査時間は観光船運航開始前の朝8時~10時。8時の観察スタート前からイルカがいることもあれば、10時までに見つからないこともあります。

調査頻度について、基本的には月水金でしたが、色々な企画の都合などもあったのであくまでも目安と思ってください。実際には調査員が私1人だったので出張や休暇で不在になることもありました。そのような状況のなか、月別回数がなるべく同じになるように努めました。(それでも母数の偏りはあります・・・)

陸上観測調査 月別調査回数

イルカを目視できるときには、陸から1㎞以内にところにいることがほとんどです。双眼鏡を使えば、識別できる個体もいるほど陸の近くにいることもよくあります。また、天草のイルカたちはだいたい群れのほとんど(100頭以上)が固まって行動することが多いので、初めて陸から観察する人たちでも容易に発見することができます!
(天草のすごいところ☆(^▽^)☆)
赤ちゃんイルカのおぼつかない可愛らしい泳ぎも明確にわかります(笑)

3年間の調査結果は以下のようになりました。
各月の調査回数を母数(100%)としたときの、イルカの有無(有:発見エリア)

8:00~10:00 陸上観測調査 
月別イルカ発見状況 
2022年5月~2025年3月

棒グラフの見方ですが、ざっくりと 
青:通詞島沖 オレンジ:国道沿い グレー:未発見 他色:他のエリア

月別の比較で顕著になっているのが、10~12月の未発見率の高さです。
(母数が異なるので厳密には統計上の集計補正をしないといけません)
9月以降に急激に発見率が下がることがわかります。5~8月は朝からイルカを発見することができますが、11月や12月はたとえ毎日探しても見つからないことがほとんどです。10時から観光船が運航しますが、出航時間までにイルカが見つかっていない場合には乗船客には「探しながらの運航になります」(見つかるかどうかは約束できない)とご案内することになります。

次に総集計のグラフがこちらになります。
調査総数422回を母数としたときの、イルカ発見状況

8:00~10:00 陸上観測調査
イルカ発見状況集計
2022年5月~2025年3月
観音様ポイントから探している様子
陸からだと、こんな感じに見えます

さて、これらのデータは他の調査データとの関連も重要で、イルカたちの日々の移動のパターンがみえてくる結果でもあります。それについては、また別のレポートでご報告しますね。

通勤で道行く人たちは、こんな私の姿をよく見かけていたと思います(笑)
インスタに投稿用の撮影をしていているとき、車で通りすがった友人がクラクションをならしてくれることもありました。嬉しいような恥ずかしいような!

【まとめ】 
☆天草市五和町の沿岸では年間を通じて、約6割の確率で朝8時から野生イルカを(陸から)発見することができる
☆発見確率は月によって大きく異なる
☆5〜8月は、陸からイルカを発見できる確率が約9割!

あそこにいる?? 
いるいる、見えるよ~! (通詞島から)