10.12 イルカ調査近況 イルカたちが遠足(遠泳)に出る時期になりました。なかなか発見が難しい秋シーズン、近場に残るイルカたちはどんなイルカ?
今年度から、天草市としてイルカ調査が開始になっています。私は調査員として
週に3回 8:00 ~10:00に陸からの調査(主に出現スポットと時間、移動など)
週に1回 船上調査(主に背びれの写真撮影で、個体識別調査)
などを実施しています。
どちらも順調にデータ収集をしているところで、年明けには地域や関係者向けに報告会の開催も予定しています。
さて、今年もイルカたちが見つけにくくなるシーズンに突入しました。
9~10月はイルカたちは遠泳(エサを求めて?遠征)に出かけてしまう時期であることは、これまでにもお伝えしてきました。今年は9/25から、ぱたっとイルカたちがいなくなりました・・・
さてこの時期、メイン集団とははぐれて二江エリアに残るイルカがいることがあります。
1~2頭なので、なかなか見つけるのも困難。とくに陸からでは厳しいです。イルカ船のキャプテンが小亀灯台周囲、鬼池港防波堤周囲で発見することがおおい印象です。
そんなときは
「はぐれが2頭だけいた」みたいな表現となります。
(いつもの群れはいないけど、そこからはぐれたイルカを2頭だけ発見できた、という意味です)
ここ数年の経験では、
ケガイルカ、親子、外海からの老イルカ、を見かけるなぁというパターンです。注意深く観察をしている立場としては、
*健康状態が不良で体力的に集団に追いつけないため、いつもの場所にとどまっている
のではないか、と推察しています(あくまでも私見です)
そしてそれが、今年はこの2頭のようです
個体識別については、こちらをご覧ください https://dolphin-lab.com/identification/
実は、調査を始めた5月から、識別番号8-2、はケガをしていることがわかっていて、ずっと観察をしています。
尾びれの付け根に、釣り糸?のようなものがからみ、締め付けられてしまい・・・という状況です。
体力のあるイルカだったのか、まだ辛うじて生存していますが。。。肌艶もよくないことや、尾びれの状態をみると、かなり衰弱はしていると思います。半年以上は経過しているので、何とか餌を捕まえることはできているはずです。
そして、もう1頭。寄り添っているだけかなと思っていたら、どうやらこのイルカの尾びれ(右側)も、なんだか病気のようでした。
どちらも、識別は済んでいるので、天草のイルカたちのファミリーです(外海からのゲストイルカではない)
野生のイルカたちであり、助けたり保護することは、少なくとも天草ではしていません。
私たち人も、不慮の事故や、望まない病気になってしまうことはありますが、、、
野生動物には病院はないので、自然治癒力で回復するか否かということになります。
ただ、この状態が果たして、「仕方なかった」ことなのか。
それとも
「防げる事情」であったのかは、よく考えてみる必要があります。
このイルカたちを発見した場合には、とくに運転には注意してほしいものです。速く泳いだり、危険を察知して回避行動をとる体力はもう残されていない可能性もあります。
どうか、静かに寄り添って、いろいろなことを想像したり、学んだり、話し合ったりしてほしいなと思います。
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